最近NHK Eテレの「デザイン トークス+(プラス)」という番組をときどき観ています。
小さい頃から美術も技術も苦手だった私にとって、「デザイン」は今までどちらかというと避けてきたテーマ。
でもこの番組を観ていると、「デザイン」とは見た目だけではなくもっと広い意味で使われていて、考え方や発想の部分ですごく気付かされることがあります。
先日のテーマは「有機的なもの」で、現代アーティストの鴻池朋子さんの展覧会が開かれている美術館に、デザイナーの三澤遥さんが訪れました。
鴻池朋子さんが作品で意識していることは、ただ「キレイ」だけでなく、人が原初的に持つ感覚を揺さぶることだそうです。
確かに番組の中で作品を見ていると、色彩とかレイアウトとか視覚で表面的に判断できるものだけではなく、更に深いところに訴えかけてくるような感覚を覚えました。
三澤遥さんもその部分には共感していて、作品を観るときも、触ったり匂いを嗅いだり、五感全てを使って観ているようでした。
一つとても印象的だったのが、三澤さんが鴻池さんのある作品を見て言った一言です。
絵として書いてしまえば簡単だけど、それを刺繍で表現することで、作品に「時間軸」を加えていますね。
私は美術館で作品を観るときに、「時間軸」まで意識したことはありませんでした。
芸術は、三次元的に視覚で楽しむだけでなく、五感、更には第六感で認知するような無数の次元に触れられる、想像しているよりもとても深いものなのではないかと思いました。
考えてみれば、言葉も音も形あるものも、世界を全て的確に表現しているわけではないのでしょう。
簡単には知覚したり理解したりできない、もっともっと曖昧で不確かでおぼろげなものを通して、私達はつながっている気がします。
これから芸術作品を鑑賞するのが、とても楽しみになりました。