先日「FOOT×BRAIN」という番組に、女子バスケットボール日本代表を東京五輪で銀メダルに導いた、トム・ホーバス監督が出演されていました。
「日本人の良さ」にこだわる
トム監督は、日本が世界と戦うために、ある戦術を徹底しました。
それは「全員がスリーポイントを狙えるようにする」ことです。
バスケットボールでは、特定のプレーヤーだけがスリーポイントを狙うのが慣例だそうです。しかし、トム監督はスリーポイントを全員に狙わせるという奇抜な戦略を取りました。
これは外からスリーポイントを狙うことで、ゴール下であたりの強い外国人選手とのフィジカルコンタクトを避けようという意図があるのだと思います。
小柄で当たり負けする可能性がある日本人が国際大会を勝ち抜くために考えられた、素晴らしい戦略だと思いました。
しかし、もっと感心したのは、「空いたら必ずスリーポイントを狙う」戦略を徹底するために、「狙わなかった選手はベンチに下げる」という更に明確な戦略を取ったことです。
選手に明確なルールを与えることで、やるべきことがハッキリして結果が出たのだと言っても良いでしょう。
外国人にならなければいけないのか?
日本のサッカー界で今取り組まれていることは、どちらかというと「自分の頭で考えられる自主性を育てる」ことだと思います。
選手のインタビューでも、「監督に言われなくてもピッチ内で状況に応じて修正していく」とか、「システムうんぬんではなく選手同士で話し合って柔軟に対応する」と言った声が非常に多く聞かれます。
教育界でも、「自主性のある子供を育てる」という声がよく聞かれますし、ビジネス界でも「セルフスターター」(自分で考えて行動を起こせる人材)が求められているようです。
これに対して、トム監督は「言われたことを組織として忠実にこなすことができる」日本人の良さをそのまま活かすアプローチを取ったのです。
日本人が自己否定的に用いる「言われたことしかできない」という特徴を、「言われたことをしっかりこなしてくれる」という長所として見ている外国人監督。
ここ十数年で日本が取り組んできたアプローチが根底から覆される予感がしています。
「変化」よりも大切なこと
日本スポーツ界がトム監督から学ぶのは、
「変わらなければならない」という自己否定的な態度ではなく、
「自分の良さを認め、相手の良さも認める」という自己肯定的かつ他者肯定的な態度。
まさにこれではないか、としみじみ感じました。
良いところは学べば良い、でも外国人にならなくて良い。日本人の良さを認め、外国人の良さも認めれば良い。
そうすれば、もっともっとスポーツは楽しいものになると思います。
「自分を満たし、その結果他人にも優しくできるようになる」、そのために瞑想が大きな役割を果たしてくれることも、最後に申し添えておきます。